泰介のベトナム短信単身記



【台風その2】

リクエストがありましたのでタイの洪水についてのお話。
バンコクでは9月から10月上旬にかけて道路が冠水することがよく起こります。
原因は2つです。
一つは今回の大洪水の原因と原因は同じですが例 年はその規模が小さいため普段は冠水しません。
この原因は後で説明します。
この原因にもう一つの原因、即ちバンコクに降る局所的な雨が重なり、それが引き 金になって洪水を起こします。
この手の洪水は比較的短時間に起き、やはり比較的短い(1日-2日)時間で引きます。
それでは今回の洪水の原因を説明します。
バンコクは国の南北を通るチャオプラヤ川の最下流域にあり、海抜1m程度で潮の影響を受けています。
今回有名になったアユタヤもバンコクから 100km離れた上流にもかかわらずおそらく海抜10m程度でしょう。
500600km離れた山間部の上流域に降った雨は次第に下流に流れますがアユタ ヤの北部になると平らな地形となり勾配がなくなるため流速は遅くなります。
流速が遅くなるということは流れる断面、即ち川の幅や深さが大きくないと必要な 量を流すことが出来ないということになります。
川幅や深さが足りなければ上流から来る水で次第に水面が上昇することになります。
タイには嵩上げした堤防は 殆どないので水面が上がれば必然的に隣接した農地や街にあふれることになります。
上流からの水が止まらなければ、水面が上がり、その下流域に水が流れ同様 にその下流域も水面が上がるということで次第にゆっくりと洪水が下流域に移動していくのです。今年のように山間部に大雨が降り続いた場合、一時的な保水力を持つ森林も能力を越えてしまい大量の水を出さざるを得ないことになりました。
また、雨が止んでも保水された水が時間差で流出し、水の供給がなかなか止まらないことになっています。
以前でもバンコクを守るためにアユタヤの農地を遊水地替わりにし、あとで補償したという話を聞いたことがあります。
今回はそれ以上の雨だったのですね。
分りましたか。


                                 111103 泰介
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