【会社更生法とハローワーク】
ふと思ったのですが、建設業界は必ず契約書を交わしてから仕事がスタートするのですか。
私の勤めていた会社、契約書無しの仕事が多く、先の東証上場の際の審査がいろいろと大変でした。
何をもって契約成立とするのか、何をもってその具体的証拠とするのか、当事者の認識も定かではありませんでした。
ここだけの話、契約書絶対の官公庁の仕事でも、契約書は仕事が終わるころ、あるいは終わってから後追いで作成
してましたね。
【ハローワーク】
36年の会社勤務を終え、めでたく失業者となった私はハローワークに通っております。
本日2度めの失業認定日(失業中であることの確認をする)でした。求職活動の実績を記入した書類を持参、4週間
(28日)分の雇用保険の給付を受けました。
188,748円(1日6,741円)です。
この額は毎年8月に昨年の日本の賃金統計をもとに算出され、今年は日額で26.4円下がりました。
不景気で賃金が下がっているということですね。
厚生年金をもらうとすると、1か月当たり13万円強ですので、約5万円ほど雇用保険のほうが多いということになります。
今の法律ですと最大150日分もらえます。これから失業される方の参考までに。
08.09.02 朝男
【会社更生法】
りんかい日産建設が8月29日倒産し、会社更生法による再建を目指すことになりました。
旧日産建設の人にとっては2回目の会社更生法による再建となります。
今の私はタイの現地法人(子会社)との有期契約で本年12月までとなっていますので,今回の結果について特に
影響はありません。
子会社についても本社に債務はあるものの債権はないためこの措置による損失は発生しません。
私は前回経験しておりますのでこの道のエキスパートです。
会社更生法による再建とはどのようなものか簡単に説明しましょう。
1. 債務超過となり、資金繰りに行き詰り今後の事業運営が困難になった会社が、会社更生法による再建を
行いたいとして法適用を裁判所に申請する。
2. 裁判所が再建の合理性があると認めた場合、受理決定し、保全命令を出す。
また、保全を行うための保全管理人(弁護士)を指名する。
保全とは債権者が勝手に会社の物品を債権の代わりに持ち出すこと禁止するもので持ち出した場合、窃盗罪
に該当する。
3. 保全管理人は継続されている事業を一時的に止め、受理日における債権と債務の確定を行う。
即ち受理日における売掛金、納入品など明確にして出入り業者の確認を求める。
この時点での出入り業者の債権(申請会社の債務、旧債務と呼ばれる)が、更生債権(再建計画によって返済額
が決定される債権で当面支払いはされない)となる。
債権債務が確定すると保全管理人は事業再開を許可する。
建設会社の場合、各現場ごとに債権債務の確定が行われるため各現場ごとに工事が再開される。
通常、事業再開後の支払いは全て現金で行われ、支払い期間も短くなる。
出入り業者にとって再開後の支払いは条件の好いものになる。
この現金は申請会社が準備をしておくもので、これが準備できなければ破産手続きになる。
4. 保全管理人は全ての債権、債務、資産、資本を勘案し、今後の事業更生計画作成する。
この更生計画には旧債務の圧縮率や返済計画も含まれる。
返済率は通常5-7%となります。
凄く少ないでしょ。
一般的に資本金は100%減資となるため株券は紙くずになる。
株主の有限責任はそこまででそれ以上の責任は負わない。
再建計画には新しい株主も必要としている。
5. 裁判所の命により債権者集会が開かれ、保全管理人の作成した更生計画の賛否を問う。
ここで承認され、裁判所の認可を受けて初めて更生手続きの開始となる。
更生手続きの開始とは事業の継続が認められたということで、会社名もこの時点で「更生会社xxxx株式会社」
となる。
更生手続きが開始されると保全管理人の役目は終わり管財人として仕事が始まる。
保全管理人が管財人の一人として裁判所より任命されるのが普通である。
事業は法律管財人と事業管財人という2種類の管財人たちによって運営される。
更生手続き開始直後には法的な問題が山積しており法律管財人が重要な役割を担うが事業が進むにつれ、
事業管財人に比重が高まってくる。
6. 事業収入により返済を完了するか、投資家の資本金注入或いは合併によって返済が完了した場合、更生手続き
の終了となる。
裁判所による決定を受けて「更生会社xxxx株式会社」は晴れて「xxxx株式会社」になる。めでたし、めでたし。
前回のときはJVを組んでいた相手先11社との交渉をやりました。
債権、債務の確定やその後の負担資金供出に関しての交渉で上記の3に当たる作業です。
相手先が超大手、大手であり、その当時、東海興業、佐藤工業など先に倒産した会社があったため、相手先も慣れた
様子でした。
法に従った対応であれば極端に言うと支払いは致しません、貰うものは頂きますということになるのですが、この業界
それをすれば村八分となって生きていくことが出来なくなってしまいます。
ということで弁護士も更生債権とすることは出来ないと判断し、裁判所の許可を取って一般債権(支払いの出来る債権)
としました。
これを法律用語では履行選択と言います。
大成建設と最後の打ち合わせのとき、先方の財務担当者と法務担当者から私が土木屋の人なのによくこの交渉が出来
ましたねと不思議がられました。
海外で仕事をするため契約書をよく読んでいたことが法的な考え方に付いていけたのではと説明しました。
08.09.01 泰介
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