【また騒がしくなって】
ようやく親タクシン派政党による連立政権が動き始めたところ、また変な動きが出てきました。
発端は親タクシンは政党の最大与党である「国民の力党」の幹部で下院の議長に選出された男の
選挙違反が、前軍事政権時に国民投票によって改正された憲法に抵触すると訴えが起こされたことです。
憲法違反であると裁判所が判断した場合は、その党に対し解党命令が出される可能性が高いためこの
国民の力党」はこれを阻止するため、国会に憲法改正をと問うことにしました。
反対派である民主党をはじめとする野党は、これに反発し集会やデモを始めたわけです。
さらにこの集会に対し、サマック首相は武力を持って制圧するといった不用意な発言を行い、
反対派のより強い反発を煽ってしまった。
前回の総選挙で国民が親タクシン派を選んだのは結局、タクシンの行った売国行為の容認ではなく、
彼の行った経済政策の踏襲を願ったということです。
経済界もこの選挙結果については異を唱えておりませんでした。
ただ、都市部、特にバンコクではやはり「国民の力党」は「売国奴タクシンの傀儡政党」といった
見方が強くの知識層は相当な嫌悪感を持っています。
タイという国は仏教国で民主的な国と思っておられる方が多いのですが、実は階級社会が残っているのです。
タイには仏教とバラモン教があります。
ちょうど日本の神道と仏教のようにです。
このバラモン教は古代ヒンズー教で、ヒンズー教と同様カースト制度がありそれが未だに残っている。
我々外国人には分からない階級です。
政治家は殆どがその階級上位者であり、彼らが時としてとんでもない発言をするのは下位者を人として
みていないからなのではないかと思います。
今の内務大臣は以前から極めて評判の悪いゴロツキと言われており、息子2人とも軍にいた頃、飲み屋で
暴れ銃で殺人を犯している。
裁判では証人が一人も出廷せず、証拠品も行方不明となって無罪、但し、軍属解除となった。
が、今回、父親が内務大臣になり軍に復帰が認められ、しかも昇格しているという驚くばかりである。
そのような人でも大臣になることが出来る社会なのです。
勿論、下位者はこれに対し反対することはなく従うのみである。
民主主義を唱える知識人でさえ、こういった行為については反対するものの、階級制度に反対は
していないようにみえる。
今回のデモがまた、クーデターを起こすのではないかと一部では話されています。
08.06.05 泰介
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