厳冬期ヒュッテアルバトロス行   81.02.21〜23


  メンバーに恵まれ、厳冬期の小舎を訪問することができた。白銀の世界に囲まれ、ヒュッテアルバトロスはひっそりと我々を迎えてくれた。

メンバーは、戸山・船木・御法川・鈴木・武田・守利・高橋の各氏に藤井の8名。戸山ジープ、鈴木ランドクルーザー、高橋スバルレオーネの4WD車に分乗しての強力部隊である。

38豪雪以来の積雪という事前の情報で、霧が峰・車山あたりのスキー場はいずれもオーバー70cm。別荘地までは除雪ズミとの鷹野氏からの電話もあったが、残り7〜8kmをどこまで4WDに頼れるか、不安であった。車をデポ後は戸山氏をリーダーに山スキー+シールでアタックする基本計画であった。

2月21日ド深夜の戸山氏宅に集合、01時〜02時。早暁04時、スタート。R17を深谷05時、藤岡05時30/40。R254に入り「茶蘭花」07時。「レイクサイドたかの」08時。予報では前線が通過するハズだったが、満月を過ぎたばかりの月に導かれた順調なナイトドライブだった。松原湖十字路そばの「嶋屋」で食料購入。船木氏のリードで、1人当たり1500円×8人=12000円分。

湖畔で30〜40cmの積雪、ときどき陽が射す曇り空。あっという間に除雪された道路を別荘地着。そしてランクル以外は4輪にチェーンを巻き、雪道へ。標高約1400m地点の白樺林を過ぎヘアピンの上りにかかるところで、トップのランクルがスタック。レオーネはそれまでに人力による後押しが何回かあり、ここを車のデポ地に決める。09時30分。

 予想外に早くスキーをつけることとなったため、夜食無しのドライブ後ともあってまず食事。体力をつけ、荷を軽くしてのスキー行とする。

事前に付け焼刃的に雑誌を読んだ限りでは、かなり不安な部分もあったが、シールをつけての登行はまず気力、そして体力、であった。

 今回は、戸山氏調達の山スキーにシールとストックは各自用意とのことであった。しかし大部分はシール・ストックまで戸山氏調達分で行動。シールの取り付け法は両面テープ+シール付属のバンド。雑誌ではあまり一般化してない両面テープの使用は最高。ただし、絞め具と靴とのマッチングがいま一つで、サラリーマン主体のでっち上げパーティ故の事前の準備不足が目立った。

11時45分、小雪の中を車のデポ地からスタート。コースは舗装道路をそのままたどる。小舎まで2〜4時間と思われ、おそるおそる進む。戸山・船木両氏は強い、しかも荷が多いのに。やはり日頃の活動が1翻、いや3翻くらい違うのだろう。そして守利・武田・高橋氏が意外に(失礼)強い。鈴木・御法川氏は重荷を交代でかつぐ。重いときは確実に遅れるが相棒も必ず一緒だ。そして常にダメなのが小生。ヨタヨタとしたペース。日頃頭脳労働ばかりというわけでもないのに、まるでだらしない。よくも参加した。全く恥ずかしい有様であった。40分で稲子湯分岐(はちまき道路)着。小休止後また40分で上智の沢。そして30分で小舎着、ちょうど14時。

 2ヶ月の空白時間を感じさせることなく、木立に囲まれ小舎はあった。シックないい小舎に見える。ひそやかで、それでいてしっかりとしたいい小舎だ。確かに我々が作り上げた小舎だ。しかも厳冬期に小舎にたどり着いたのだ。まったくいい仲間に恵まれたものだ。

 小舎内部は−3度Cだった。前の沢は積雪と屋根から落ちた雪で真っ平。水は大鍋に雪を取り暖炉の熱で溶かす。水割りはツララを別に用意し、常に作れる。雪をいきなりグラスに詰めウイスキーを注ぐウイスキーシャーベットもまた良い。コールマンが灯り、オプティマスは何回か挑戦してダメ。そのうち発電機が回り、夕食。鶏鍋+うどんでディナー。24時ころ就寝。

 2月22日07時、朝日が眩しい。昨日に続き無風に近い。気温もそう低くなく、予報どおり移動性高気圧の登場だ。コールマンは朝まで点灯しっぱなしだ。このタフさ加減にはあきれる外ない。朝食後、小舎番(食当)志願の高橋氏以外7名で林業センターを目標に登行を開始、10時。

 ときどき太陽が顔をのぞかせ、主稜線のスカイラインをながめながらあずまや着。シールによる登行もすっかり(?)身につき、三々五々林業センターに向かう。意欲的な御法川氏は麦草峠を目指す。それに釣られ他の6人も、行けるところまでということで参加。バス道を歩むがときどきショートカット。最大25〜30度位のカラマツ林の中を直登することもあった。このくらいの登りになると、ストックワークと体重の移動がシールの効き方にひびく。そして、絞具の調整もポイント。

 帰宅後雑誌を読んだところ、現在ではツアー用の靴が市販されており、登山靴とスキー靴両用のセフティ機能をアルペン用と同等のレベルにまで高めた絞具との組み合わせが最高とのこと。ただしこの組み合わせだと、剣に上り平蔵谷を下りるか、穂高に登り山頂から涸沢に滑り降りないとアンバランスになるようだ。板も最低でOLIN。

 アルバトロス周辺の散策にはラングラウフ用の軽いスキーが良いだろう。だがそうなると、靴もスニーカーみたいなヤツが必要になる。絞具も異なる、やっかいだ。その点今回の組み合わせ=いわゆる山スキー+ジルベレッタ+冬用登山靴は、小舎までのアプローチ含みだとベストか…。小生の場合は、いわゆる山スキーをゲレンデで使った古スキーに変更してみたいし、ジルベレッタをいつの日にかビネッサのFHにも代えてみたい。そして冬用登山靴をあまり痛めないために、夏用登山靴が欲しい。

 約2時間半で標高1900m、カラマツが少なくなり針葉樹の増えた地点に到着。本日帰るメンバーもいるため、6:1の多数決でここまでとする。御法川氏の意欲も6人の意見で、最早これまで!! 休憩をとりながら行動食を摂る者、シールをはずすメンバー、写真を撮る仲間、ワックスを塗る人、それぞれに過ごす。最後まで麦草峠に恋い焦がれるヤツもいた。

 いよいよ下り。これが全く面白くない! 登ってきたシュプールを忠実にたどるダケ。たまにはバージンスノーにエイッと飛び込むが、何も起こらない。転ぶだけ! 

雪が悪いのか? 絞具か? 靴か? スキーの板か? …………、技術だ。ゲレンデで3級程度では全くダメなのです、金子さん。2級クラスで直線を描くだけ! 山スキーは技術じゃない! と言ったのはどなたデスか? 平川さん。下りこそ技術がモノをいうのです、柴田さん。もし技術が3級までならばアキラメルことです、渡辺さん。登ってきたシュプールを素直にトレースすることです。スキーはこの場合登行を容易にする道具、そしてくだりの時間を4〜5分の1に短縮する手段なのです。

 35〜40分で小舎着。高橋氏の手になる昼食を摂り、本日下山組は小舎を離れる。戸山・守利・武田・船木の4氏。その夜は、オプティマスを点火し「小舎の適正人数は4人だ!」などと叫びながら楽しく過ごす。月曜日の休暇が取れた高橋・鈴木・御法川と藤井のサラリーマン4名。

 厳冬期、ヒュッテアルバトロスは素晴らしい。頼りになる素敵な小舎だ。この小舎を建てた仲間に乾杯! <文責/藤井>                      

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